Touch Diamond(S21HT)のモデム化
BTモデム化
EMONSTER(S11HT)、EMONSTER Lite(S12HT)と同じく、このTouch Diamond(S21HT)のBluetoothも、標準ではDUN-GWプロファイルは搭載されておらず、BTモデムとしてはPAN接続を利用する仕様になっています。
PANにはPANのメリットもあるのですが、DUN接続に比べると、未サポートのクライアントも多く、使い難い印象は否めません。
調べてみたところ、S11HT等と同じ手順でDUN-GWを有効化出来るようなので、設定手順をまとめてみました。
まずは、こちらのサイトで公開されている WM6_BT_DUN.cab を入手しインストールします。なお、ダウンロードにあたっては、会員登録(無料)が必要となります。ミラー -> www.takesada.co.jp/~taketyon/junk/workbook/WM6_BT_DUN.cab
インストール後は、一旦再起動が必要です。再起動後、Bluetoothを有効にします。
さらに Comm Maneger の詳細設定、或いは「スタートメニュー−設定−接続−Bluetooth−モード」で、他のBluetooth機器から、S21HTが検出出来るように設定しておきます。
デバイスの検出
S21HT側の設定は以上です。
続いて、クライアント側の設定です。
S21HTのDUN-GWが有効になっていれば、通常通りのペアリング作業で普通にDUNプロトコルが見つかります。
なお、手動でペアリングを行う場合、S21HTのBluetoothアドレスは、
「スタートメニュー−設定−システム−デバイス情報−ハードウェア」から確認出来ます。
デバイス情報
ペアリングに成功したら、続いてダイアルアップの設定を行います。
ただし、S21HTをモデムとして使用する際の注意点として、ダイアルコマンドの発行前に、まず以下のモデム初期化コマンドを送ってやる必要があります。
AT+CGDCONT=1,"IP","emb.ne.jp"
Windows XP の場合
「コントロールパネル−電話とモデムのオプション」中の詳細タブから、該当するBluetoothモデムのプロパティで初期化コマンドを追加します。
Bluetoothモデムのプロパティ
コマンド冒頭のATは省略して入力します。
ちなみに、ダイアルアップ接続のプロパティの方では設定出来ないので注意して下さい。
Zaurusの場合
Zaurusから、上記の初期化コマンドを送り込む際には、そのままではコマンド中の「"」が上手く送出出来ない為、エスケープしてやる必要があります。
具体的には、以下の様に入力します。
AT+CGDCONT=1,\\042IP\\042,\\042emb.ne.jp\\042
ZaurusからのBluetooth接続に関しては、テクノウの作業記録の方でもまとめていますので、詳細についてはそちらをご参照下さい。
後は通常のダイアルアップ接続の設定になりますが、これまで接続先電話番号としてよく使われていた「*99***1#」は通らないので注意が必要です。
接続先電話番号は、「*99#」としてやる必要があります。
その他、ユーザー名やパスワード等はこれまで通りです。
USB(CDC)モデム化
デフォルトでも、一応USB接続での通信には対応となっていますが、こちらもUSBモデムとして標準的なCDCデバイスではなく、GenericRNDISとして認識されます。そのため、ActiveSyncが利用出来ない端末=実質Windows環境以外ではUSBモデムとして使用出来ません。
USB CDCデバイス化についても、既に手順が確立されているようなので、同じくまとめてみます。
まずは、BTモデム化の際にも使用した、WM6_BT_DUN.cab をインストールします。ミラー -> www.takesada.co.jp/~taketyon/junk/workbook/WM6_BT_DUN.cab
次に、ATCIUI.exeを入手します。ミラー -> www.takesada.co.jp/~junk/workbook/ATCIUI.exe
ATCIUI.exeは、こちらのサイトで公開されている MODEMLINK.zip に含まれています。なお、ダウンロードにあたっては、会員登録(無料)が必要となります。ミラー -> www.takesada.co.jp/~taketyon/junk/workbook/MODEMLINK.zip
パッケージを解凍し、ATCIUI.exeを入手したら、S21HTの所定のフォルダへ配置します。実行可能なフォルダであれば、どこでも良いのですが、一般的には \Program Files\ あたりに置くのが適当かと思います。さらに、スタートメニューにショートカットを作成しておくと良いでしょう。
最後にレジストリを修正します。
ただ、それだけの為にレジストリエディタ等をインストールするのも何ですし、手動でレジストリを変更するのは何かと危険もつきまといます。
と言うことで、該当するレジストリ部分だけを設定するcabパッケージを作成してみました。
インストールすると、以下のレジストリが設定されます。
HKLM, Software\Microsoft\ATCIUI, Connections, 0x00010000, USB|COM8:|
レジストリの設定が終わったら、一旦再起動します。
再起動後、ATCIUI.exeを起動すると以下の画面が表示されます。
接続先にUSBを指定し、左ソフトキー=「アクティヴ化」を押すと、モデムモードへ移行します。一旦、モデムモードをアクティヴに設定すると、ATCIUI.exeを終了しても、そのままモデムモードが維持されます。
ちなみに、モデムモードがアクティヴな状態では、ActiveSyncやマスストレージと言った、その他のUSB接続機能は無効化されます。
モデムモードを解除するには、もう一度ATCIUI.exeを起動し、「非アクティヴ化」を選択します。
ただ、S21HTでのATCIUI.exeの動作には若干問題があるようで、一旦アプリケーションを起動・終了した後、再度起動してもウィンドウ画面が表示されません。
一応、タスクバーの方にはちゃんとアクティヴ/非アクティヴ化の表示が現れてくれるので、実用上はほぼ問題ないとは思いますが。
ちなみに、一度でもATCIUI.exeを起動すると、その後でアプリケーションを終了させても、実行ファイルが削除出来なくなったりもします。(S21HT自体を再起動し、一度もATCIUI.exeを実行してない状態で、削除するのはOK。)
この様子を見るに、一旦起動するとどっかにフックひっかけたまま半常駐状態みたいになっちゃってるんじゃないかと。二回目以降の起動時にウィンドウが表示されないのも、そのせいですかね?。
S21HT側の設定は以上です。
なお、USBモデムとしての使用の際も、BTモデムの時と同様、以下の初期化コマンドを送出してやる必要があります。
AT+CGDCONT=1,"IP","emb.ne.jp"
続いて、クライアント側の設定です。
Windows XP の場合
モデムドライバは、HTCのサポートページにて公開されているhTcZ用のドライバを使用します。
- USBMDM.zipミラー -> www.takesada.co.jp/~taketyon/junk/workbook/USBMDM.zip
インストール後、BTモデムの時と同様に電話とモデムのプロパティで、初期化コマンドを設定します。
コマンド冒頭のATは省略して入力します。