購入

 SONYから発売されたNETJUKEシリーズの最新機種。
 これまでの機種(NAS-A10)との最大の差異は、USB端子が実装され、HDD内に録音されたデータの持ち出しか可能になったこと。
 アナログ録音に限って言えば、SUNTACのbibio JUKEBOXとかでも同じことは出来たんだけど、NETJUKEシリーズの最大の特色はCDドライブを内蔵していると言う点に尽きる。
 さらに、LAN端子も装備されており、CDからの録音時にはCDDBからデータを取得し、自動的にMP3のタグ打ちまでこなしてくれると言う、まさに最強のリッピンガー(笑)。

 とりあえず、購入にあたって、現時点で確認出来たことをざっとまとめておきたい。

録音媒体について

 録音は、内蔵チューナー(FM/AM)、MD、CD、およびアナログ外部入力で録音が可能。
 CDやMDからの録音に関してはデジタルダイレクトからのコンバートでは無く、あくまでもアナログ音声のエンコードと言う型を取っている。
 ただし、MDの各トラック・チャプターの区切り、及びトラック名等の情報はそのままタグ情報として反映される。
 CDに関しては、LANに接続されている場合、自動的(手動にも設定可)にGracenote CDDBへアクセスし、情報表示を行う。このCDDBへのアクセスに関しては、日本語CDDBを優先するかの設定まで可能となっているので、洋楽メインの人でも安心。録音時にはこれらの曲データがそのままMP3のタグとして打ち込まれる。

 なお、アナログ録音と言うことで、逆に各種CCCD(コピーコントロールCD)からの録音も問題なく行うことが出来る。
 念の為、avex、VICTOR、あとSONYレーベルゲート、と各社のCCCDでの録音を確認してみた。録音されたデータは、特に著作権情報などが特別に付加される訳でもなく、通常のCDから録音したデータと全く差異は無い。

 録音で選べるフォーマットは、リニアPCMATRAC、MP3の3種となる。
 それぞれに、出来ることに微妙に差異がるので、状況によって使い分けが必要となるかもしれない。

 最も重要となるのは、本体HDDからの持ち出しについてだが、リニアPCMは、基本的に持ち出し不可。強いて言えば、アナログで録音しなおすくらいしか持ち出す手段は存在しない。
 ATRACに関してはメモリースティックDuo、及びUSBでの転送に対応したATRAC機器(ATRAC ADと言うらしい)に書き出すことが出来る。
 また、ATRACはMDでも使われている形式であるため、MDに対して録音する際も、一旦HDD内のデータをATRACに変換した上で、MDに書き出すと言った形になる。

 MP3に関しては、一番自由度が高く、単純にメモリースティックDuoにデータとして保存出来る他、後述するUSBストレージ経由で、完全に自由に持ち出すことが出来る。

 なお、録音とは少し感覚が異なるが、既に作成済みの楽曲データを取り込むことも可能である。
 取り込みは後述するUSBマスストレージ経由の他、本機単体のLAN経由で”直接Windows共有フォルダの中を参照”することが出来る(^^)。

NAS-M7HDで扱えるMP3データについて

 録音で生成されるMP3の仕様は以下の通りとなる。

 サンプリングレート 44.1KHz固定
 ビットレート 96〜256Kbps(任意) CBR(固定)
 ステレオフォーマット Joint Stereo

 ID3タグは、ID3V2(v2.3)、文字列エンコードはISO-8859-1(Shit-JIS)でタグが付与される。逆にID3V1タグは作成されないようだ。


 再生に関して、公式の仕様上はビットレートは32kbps〜320bpsまでのデータに対応し、VBRには非対応と言うことになっている。

 上記保証外のデータに関しては、実際に試してみた限りでは、VBRや、上記範囲外の低ビットレートのデータであっても、一応再生することは出来た。ただし、あくまでも保証範囲外となるため、全てのデータの再生が可能であるとは限らない。

 なお、再生と録音で、対応しているMP3のデータの仕様が微妙に異なるが、これはエンコードとデコードが別チップになっているためでは無いかと思われる。


 ファイル名については、基本的にアルバム単位でフォルダが切られる。楽曲は、

トラックNo. トラック名

と言う命名規則でファイル名が割り振られていく。ただし、トラックNo.はあくまでも録音順につけられていくので、必ずしもCDのトラックNo.と1vs1に対応する訳ではない。と言うか、各CD個別の情報を保持する訳では無いので、既に途中まで録音済みの状態で再度録音した場合は、同一のトラックが複数作成される、或いはタイムスタンプの異なる同一のフォルダが新たに作成されることになるので、注意が必要。

 なお、既存の楽曲を取り込む場合も、元のファイル名は保持されず、NetJukeの命名規則に基づいて新たなファイル名が付けられることとなる(タグ情報は保持される)。

フォーマット変換

 前述の通り、リニアPCMで録音したデータを持ち出したい場合や、MP3で取り込んだデータをATRAC機器に転送したい場合等は、フォーマット変換が必要となる。

 録音形式のフォーマット変換自体は、メニューから容易に行うことが出来るが、フォーマット変換の際には、ファイルそのものが上書きされ、元ファイルは残らない仕様になっている(爆)。勿論、変換後、再び再変換を行うこと自体は可能であるが、その場合どうしてもデータの劣化は避けられない(^^;)。
 そのため、ラジオ等をPCMで録音し、状況に応じてMDのATRACや、MP3に落としなおすと言った用途で使いたい場合は十分に注意する必要がある。

USB機器の認識

 本体前面のUSB(2.0対応)端子は、所謂USBマスストレージクラスの機器を認識することが可能で、USBマスストレージクラスとしてPCで認識されるiPod等のデジタルオーディオ機器は勿論、USBメモリや、USB接続のHDD等を接続することが出来る。

 HDD内に録音したMP3ファイルは、このUSBマスストレージに自由に保存することが出来る。保存したMP3データは、特に暗号化等の処理も施されていないため、USBマスストレージを経由するこで、PC等に自由に持ち出し可能と言うことになる(^^)。

 認識する機器に関しては、基本的にマスストレージに準拠する機器ならば大抵は認識可能だが、マルチファンクションデバイス(複数のカードスロットを持ったカードリーダ等)に関しては、一番目のデバイスしか認識しない。
 また、ZAURUSでも使えなかったPRETECのiDisk TINY 2.0LuxuryやI・Oデータの「ToteBag」TB-Cシリーズ等のUSBメモリは認識出来なかった。
 なお、bibio JUKEBOXでは認識されなかった肝心のZAURUS本体は正常に認識することを確認出来た(笑)。


 なお、現時点で認識した機器は以下の通り。(随時更新予定)

※1 バスパワー単体では電源不足のため、バスパワー増強ケーブルUC-BSTを併用することで使用可能
※2 iTunesを経由しない、ストレージクラスでの転送のため、転送したデータをiPod単体で再生することは出来ない